2002年08月04日
長期投資のすすめ
はじめに
長期投資であれ短期投資であれ、例え投機でさえあっても、 その分野を突き詰めて極めてゆけば、同じように良い成果をあげることができると思います。 だから、自分に一番合った投資法を選んで、それを深く勉強することが 一番だと思っています。
でも、多くの人は、自分に合っているかどうかではなく、 "射幸心を満たすため"に短期的な投資をしているのは残念なことです。 こういう人の多くは、本職の短期投資家の餌食になるだけです。 例えて言うなら、マラソンランナーがスプリンターと一緒に100M走を走らされるようなものです。 自分にはどんな投資方法が一番合っているのか。漫然と投資をされてきた方は 是非自分に問い掛けてみてください。
長期投資の利点1
利点1 時間に縛られることなく投資を行うことができる
短期投資でも長期投資でも同じように良い成果をあげることができるのに、 何故私は長期投資を勧めているのでしょうか。 それは、長期投資にはいくつか短期投資には無い利点があり、 その利点を私が気に入っているからです。
私は今、サラリーマンをしながら投資活動をしています。 当然ながら、株式市場が開いている平日の昼間になど 投資を行うことはできません。 それでも私は投資で特別困ったことはありませんでした。
長期投資は企業の本質的な価値に基づいて行う投資方法です。 企業の価値は、株価のように頻繁に変わるものではありません。 休日などの時間の取れるときに企業を良く調べ、 企業価値よりも遥かに安ければ買い、企業価値よりも 遥かに高くなったら売るだけです。 長期投資では、株式市場に自分の時間を合わせるのではなく、 自分の時間に株式市場の時間を合わせれば良いのです。
一方、短期投資を行うためには株式市場の雰囲気を肌で感じなくてはなりません。 短期投資は企業価値に基づく投資方法ではなく、周りの人々が その企業(セクター、国、etc)をどう思っているか、 ということを読み取って行う投資方法だからです。 残念ながら私には短期投資の才能が無いためこれ以上詳しく書くことができませんが、 とにかく短期投資は株式市場の時間に縛られることになります。
時間に縛られることなく投資を行うことができる。 これが長期投資の第1の利点です。
余談
投資に"時給"という概念を持ち込んだ人も、それについて詳しく調べた人もいないため 断言はできませんが、個人的には長期投資のほうが時給が高くなるのではないかと 思っています。つまり投資に掛ける時間あたりのパフォーマンスは長期投資のほうが 上なのではないかと思っているわけです。
長期投資の利点2
利点2 未実現利益を繰り越すことができる
投資方法が優れているからというわけではなく、 世の中の仕組みがたまたまそうなっていたから 長期投資のほうが有利だということがあります。
投資で利益をあげた場合、利益に応じて税金を納めなければなりません。 ただし、この税金というのは利益を確定させた時に初めて課せられます。 つまり、投資の含み益には一切課税されないのです。
この未実現利益が課税されないことの有利さを、 例を挙げて説明したいと思います。
短期投資で1年間に100万円を130万円に増やした場合
利益30万円-税金20%=24万円の利益
この年率30%のペースで短期投資を続けると、 100万円が10年後には913万円になります。
| 税引前 | 税 | 税引後 | |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 130 | 6 | 124 |
| 2年目 | 161 | 6 | 155 |
| 3年目 | 201 | 8 | 193 |
| 4年目 | 251 | 10 | 241 |
| 5年目 | 314 | 12 | 301 |
| 6年目 | 392 | 16 | 376 |
| 7年目 | 489 | 19 | 470 |
| 8年目 | 610 | 24 | 586 |
| 9年目 | 762 | 30 | 732 |
| 10年目 | 951 | 38 | 913 |
それでは、長期投資で同じように年率30%のペースを達成し、 10年後に株式を売却した場合はどうなるでしょうか。
| 税引前 | 税 | 税引後 | |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 130 | ||
| 2年目 | 169 | ||
| 3年目 | 220 | ||
| 4年目 | 286 | ||
| 5年目 | 371 | ||
| 6年目 | 483 | ||
| 7年目 | 627 | ||
| 8年目 | 816 | ||
| 9年目 | 1060 | ||
| 10年目 | 1379 | 256 | 1123 |
10年後には、なんと1123万円まで増えています。その差約200万円。 これが、未実現利益を繰り越すことができることの利点です。
税引前パフォーマンスで年率15%の短期投資と等しいパフォーマンスを得るのに、 10年の長期投資では年率14.2%のパフォーマンスで済みます。 同様に、税引前パフォーマンスで年率30%の短期投資と等しいパフォーマンスを得るのに、 10年の長期投資では年率27.3%パフォーマンスで済むのです。
長期投資の利点3
利点3 規模の限界が無い
これは非常に限られた人にしかメリットの無い利点ですが、 将来の私には素晴らしい利点になっているはずです。
私は将来お金持ちになりたいと思っています(心の中では必ずなれると確信しています[笑])。 そんな私にとってこの規模の限界というのは非常に重要な点です。
短期投資で問題なく運用できるのは10億円程度までだと思っています。 短期投資というのは、短い期間に多額の自己資本をつぎ込む投資方法です。 そのため、金額が大きくなりすぎると自分の買い注文で株価を押し上げ、 自分の売り注文で株価を押し下げてしまうという、自分の首を自分で絞めてしまう 状況に見舞われてしまいます。もちろん昨今の株式市場は非常に大きくなりましたから 10億円程度までであれば、短期投資でも特に問題は無いでしょう。 でもこの金額が100億円、1000億円と上がった場合はどうでしょう。 最低限時価総額が1兆円を越える企業が必要となってくるでしょう。 そうなるともう投資対象は一握りしかありません。
一方、長期投資は買う時でも売る時でも時間を長くかけることができます。 この時間分散が、多額の売買でも株価を押し上げたり、押し下げたりすることの 少ない売買を可能にします。
最後に
長期投資の利点ばかり並べて短期投資の利点は書きませんでしたが、 もちろん短期投資にも長期投資に無い利点があります。 例えば短期投資は小さな波に乗れば良いので、 投資機会が長期投資に比べて多くあります。 その他にも「空売り」という投資手法も活用することができます。 残念ながら、現状では個人投資家は長期の空売り、 例えば10年間の空売り(笑)などはできません。 そのため、空売りという投資手法は短期投資家の専売特許です。 空売りは株価が下がれば下がるほど儲かるという、 普通の投資のまったくの逆の投資方法です。これを活用すれば、 株式市場が大きく下がっていくような場面であっても 利益を上げることができます。
最初に述べたように、基本的には投資方法として長期投資、短期投資に それほどの優劣は無いでしょう。 それでも、私は皆さんに長期投資を勧めたいと思っています。
今まで挙げてきた長期投資の利点、それに加えて、 もっとも投資を必要としているのが現役世代だという点を強調しておきたいと思います。 こう言っては言葉が汚いですが、既に一生生活に困らないだけのお金を貯め込んだ おじいさん、おばあさんには投資などもはや必要ないのです。
投資による将来の備えを必要としているのは現役世代なのです。 現役世代ということは、もちろん普段は仕事をしているということです。 仕事を持っているような人にこそ、 時間に縛られない長期投資は最適です。
具体的な投資方法には一切触れませんでしたが、 少しでも長期投資というものがどういうものなのかを感じ取ってもらえれば幸いです。 皆さんも、子供の成長を楽しみながら見守るような長期投資で 豊かな投資ライフを送りませんか。
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