2003年04月20日

日本金銭機械(6418)

経営目標

2006年に連結売上480億円、経常利益率20%、ROE25%を目標。

事業内容

同社の事業内容は以下の通りです。

貨幣処理機器

紙幣識別機、紙幣鑑別機、貨幣計数機等、お金を数えたり、真贋をチェックしたりする機器の開発・製造・販売を行っています。アメリカのカジノにおいて、スロットマシーンの紙幣受入部に採用されており、この分野に関しては90%程度のシェアとなっています。また、欧州においても同分野にて70%のシェアとなっています。また、国内米ドル紙幣識別機においては90%のシェアとなっています。

遊技場向機器

貨幣処理技術の応用製品として、パチスロ店向けのメダル自動補給システム、台間メダル貸機、両替機等の開発・製造・販売を行っています。また、パチスロ機の販売も行っています。

金銭登録機

POSシステム、レジスター等の開発・製造・販売を行っています。

その他

耐火金庫、オゾン発生装置の開発・製造・販売を行っています。その他、ゲームセンターの運営も行っています。

既存事業におけるリスク事業

事業内容をざざっと見渡して、本業からはずれていると思われるものはパチスロ機の販売と、その他に含まれるすべての事業です。パチスロ機の販売はパチスロ機向けシステムの営業において、オゾン発生装置はPOSシステムやレジの営業において、同時に売り込むことができるという意味では必ずしも間違った選択肢と言い切ることはできませんが、余計なことに手を出しすぎたがために本業が疎かになってしまうことは良くあることです。

なお、現状はいずれのリスク事業も全体に占める割合は低く、心配するほどの問題とはなっていません。

収益構造分析


収入構造


売上高[百万円] 構成比[%]
貨幣処理機器 18,954 66.4
金銭登録機 1,844 6.4
遊技場向機器 6,801 23.9
オフィス機器 389 1.4
アミューズメント事業 554 1.9

貨幣処理機器、それから主にパチスロ店向けの遊技場向機器で全体の売上高の約9割を占めています。

部門別の収益が公開されていなかったため、どの部門がどの程度の営業利益をあげているかはわかりませんでしたが、主力部門に関しては、全体とほぼ同じ15%程度の営業利益率になっているのではないかと思います。

オフィス機器やアミューズメント事業など、駄目そうなほうの営業利益率がわからなかったのはちょっと残念です。

財務分析

財務指標に関してはかなりしっかりとした数字になっています。その他、貸借対照表についてもあれ?と首をかしげるような項目は無さそうでしたので、財務には特に問題は無さそうです。

資本配分分析


利益分配

従業員人件費 3,225
役員人件費 ?
税引前利益 4,053
役員賞与(税引前換算) 73
税引前株主利益 3,980

従業員よりも株主のほうが利益の受取額が大きく、株主にとっては良い企業と言えます。また、従業員の給与水準も他社と比べて低くなく、従業員の給与を削って高い利益率を実現しているわけではないので、非常に好ましい状態と言えます。

内部留保した資本の配分については、有価証券報告書が見つからなかったため、わかりませんでした。

外部環境


市場規模

カジノ向け紙幣識別機の市場規模は推定200億円。国内の硬貨・紙幣処理機器の市場規模は推定1500億円。

シェア
  • アメリカのカジノ向け紙幣識別機シェア約90%。
  • 欧州カジノ向け紙幣識別機シェア約70%。
  • 世界カジノ向け紙幣識別機シェア約60%。
  • 国内米ドル紙幣識別機シェア約90%。
競合

硬貨・紙幣処理機器で国内シェア約5割のトップ企業がグローリー工業。ただ、日本金銭機械は売上高において海外のカジノ向けが50%程度、パチスロ向けが25%を占めているので、グローリー工業とはそれほど直接競合しているわけではありません。その他、パチスロ向けではオーイズミと競合しています。

成長性

アメリカにおいては新米ドル札、日本においても新札と、近い将来の更新需要はかなり大きくなる可能性はあります。ですが、長期的な成長という観点で見ると、カジノ向け機器におけるシェアが全世界で約60%と、シェア向上による成長にはもはや無理があることがわかります。

そうするとパイ全体が拡大しなくては現状の同社の主力事業については成長性があまり無いことになります。アメリカにおいて各州が税収確保のためにカジノ拡大に走っているようなので、これはパイ拡大につながります。また、我が国日本においても、東京、沖縄等がカジノ構想を掲げているため、これが実現するようなことがあれば、同社にも恩恵があるはずです。ですが、これらはまだ確定したわけではなく、また同社にどの程度のインパクトがあるかもはっきりしていません。成長性に加味するには時期尚早です。欧州、アジアについては伸びる余地がまだあります。

期待できそうな成長分野としては、国内では同社の貨幣処理技術を応用したコイン式駐車場等、既存分野以外への応用が挙げられます。こうした同社の核となる技術を応用分野にどれだけ広げられるかが同社の成長性のカギを握ります。

受注残高の低迷が続いている点、2003年3月期決算の増収率が非常に低い点、これらを考えると、今までの高成長は当てはめずに、保守的に低成長を想定しておいたほうが良いと思います。見直すのは受注残高の回復を待ってからでも遅くは無いでしょう。

株主への姿勢


配当性向

約15%程度。

自社株買い

償却用のものはありません。

ストックオプション

ありません。

IR
  • 事業内容
  • 決算資料

ウェブサイトに以上のものがありました。

経営データ

単位[百万円] 00.03 01.03 02.03
営業収入 20,432 23,988 27,905
税引前営業CF 2,195 3,314 2,937
営業CF 824 1,728 1,162
事業投資 952 611 806
 (うち新規投資) 0 0 0
 (うち維持投資) 952 661 806
オーナー利益 -128 1,117 356
修正税引前営業CF 2,961 3,674 3,397
修正営業CF 1,777 2,204 2,038
修正オーナー利益 825 1,593 1,232

指標


収益性

単位[%] 00.03 01.03 02.03
営業収入営業CF利益率 8.7 9.2 7.3
総資産営業CF利益率 11.0 10.6 9.1
株主資本営業CF利益率 17.1 16.5 12.9
固定棚卸資産営業CF利益率 23.6 22.9 20.7
営業収入オーナー利益率 4.0 6.6 4.4
総資産オーナー利益率 5.1 7.7 5.5
株主資本オーナー利益率 7.9 11.9 7.8
固定棚卸資産オーナー利益率 11.0 16.5 12.5
単位[%] 00.03 01.03 02.03
売上高総利益率 41.1 41.1 38.5
売上高営業利益率 16.0 16.2 14.1
売上高経常利益率 15.5 17.4 14.7
売上高税引前利益率 15.3 16.8 14.2
売上高純利益率 8.9 10.0 8.4
効率性
単位[ヶ月] 00.03 01.03 02.03
総資産回転期間 9.5 10.4 9.6
売上債権回転期間 2.3 2.6 2.5
棚卸資産回転期間 2.6 3.0 2.6
固定資産回転期間 1.8 1.8 1.6
健全性
単位[%] 00.03 01.03 02.03 02.09
株主資本比率 64.4 64.5 70.8 69.1
有利子負債比率 6.8 4.5 4.1 4.7
固定比率 30.0 27.4 23.8 22.0
流動比率 256.8 262.4 322.3 310.1
当座比率 167.9 170.5 216.5 215.8
成長性(3年単純平均)
営業収入成長率 14.7
営業CF成長率 8.3
営業利益成長率 21.9
割安性(株価1,540円)
PCFR 12.3倍
POER 20.4倍
PER 10.5倍
PSR 0.88倍
PBR 1.72倍
WCR 2.20倍
PER×PBR 18.1倍
配当利回り 1.9%
配当性向 18.0%
純流動資産 125.6億円
時価総額 276.5億円

※営業キャッシュフロー、オーナー利益には修正値を使用しています。

評価

市場シェア 約60%
ブランド ☆☆☆☆☆
収益性 ★★★★☆
効率性 ★★★☆☆
健全性 ★★★★★
成長性 ★★☆☆☆
安定性 ★★☆☆☆

企業価値

キャッシュフロー 1,000百万円
成長率予測 5年間5%、以降-1%
還元率 1%
純流動資産 120.6億円

5年 <10年> 15年 20年 25年 30年
将来CF[百万円] 5,626 11,347 16,523 21,206 25,444 29,278
企業価値[百万円] 17,684 23,405 28,581 33,264 37,502 41,336
時価総額比[倍] 0.64 0.85 1.03 1.20 1.36 1.49
理論株価[円] 985 1,303 1,592 1,853 2,089 2,302

コメント

今週から、投資判断に使用する企業価値は、10年分の将来CFを加算したものにほぼ固定することにしました。理由は2つあって、ひとつはこのDCF法による企業価値算出方法は、私が注目する中小企業にあてはめると、往々にして企業価値を高く評価しすぎてしまうきらいがあること。(通常、マイナスの成長率を考慮することが難しく、どうしても成長性の見積もりが甘くなるため)

もうひとつは、私個人の目標として、長期投資でありながら、短期でも長期でも収益を安定させたいのが理由です。 10年程度の期間において、現在の時価総額の2, 3倍以上のキャッシュフローを創出できる企業は、短期的にも(といっても、ここでいう短期は1年程度ですが)株価の下落が限定されます。

投資判断

同社の現在の収益力、財務力は抜群で、優良企業と評しても問題ないでしょう。心配なのは、受注残高の減少が単に同社の成長の踊り場なのか、それとも頭打ちなのかが良くわからなかった点です。不安なのは成長性だけです。

今期(2004年3月期)か来期には新札特需が加わってますます成長性を見極めるのが大変そうですが、成長性に問題がなければ Mr.マーケットと相談しながら、株価が安くなったときにポートフォリオの一員に加えても良いのではないかと思います。

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