2003年10月12日

アスクル(2678)

事業内容

中小企業向けのオフィス用品通信販売のパイオニア。注文の翌日には商品が届くというサービスが社名の由来。現在は当日配送サービスも地域限定で始めています(となると、そのうち社名を「キョウクル」に変えないといけないですね<笑>)。

同社は元々、負け組文具企業プラスの1事業部門としてスタートし、その後、分社されました。ビジネス形態は、お客様からFAXやインターネット等で注文を受け付け、翌日には商品をお客様の元へ届けるというもの。

商品は親会社であるプラス等から仕入れ、アスクルは注文の受け付けと配送を担当、お客様の開拓と代金回収はエージェントと呼ばれる販売代理店が行うのが特徴です。中小企業のように数は多いが売上高は小さいような企業を相手に商売をする場合は、このようにエージェントを噛ませたほうが商売がやりやすいとのこと。

競合

コクヨの「カウネット」、大塚商会の「たのめーる」が競合。


売上高[億円] アイテム数 会員数[万]
アスクル 1058 13700 200
カウネット 216 18000 52※2
たのめーる 400※1 30000 32

※1 今期12月末予定
※2 2001年時点の古いデータ
※3 たのめーる=大塚商会、カウネット=コクヨ

実質、上記3社が市場を独占。アスクルはシェア50%以上を確保していますが、たのめーるに猛追されています。たのめーる、カウネットが狙うのはどちらかと言えば大企業。アスクルも中小企業一辺倒から大企業へと触手を伸ばしていますが、下手をすると一気に逆転を許すことになるかもしれません。

各社ともインターネット経由の注文比率が年々上昇。現在は約4割がインターネット経由。 IT関連に強いたのめーる(大塚商会)は優良顧客に対し、専門の購買ポータルサイトを構築していて、これが目論見通りに行けば、顧客の囲い込みに成功する可能性もあります。

その他

毎年、発行済株式数の約1%程度のストックオプションを設定しています。

業績

単位[百万円] 02.05 03.05
営業収入 90,284 105,514
税引前営業CF 4,841 3,553
営業CF 4,053 1,160
事業投資 1,902 2,123
 (うち新規投資) 0 0
 (うち維持投資) 1,902 2,123
FCF 2,151 -963
修正値 -500 500
修正税引前営業CF 4,341 4,053
修正営業CF 2,171 2,027
修正FCF 269 -97

指標


収益性

単位[%] 02.05 03.05
営業収入営業CF利益率 2.4 1.9
総資産営業CF利益率 6.1 5.2
株主資本営業CF利益率 18.0 14.1
固定棚卸資産営業CF利益率 23.2 19.3
営業収入FCF利益率 0.3 -0.1
総資産FCF利益率 0.8 -0.2
株主資本FCF利益率 2.2 -0.7
固定棚卸資産FCF利益率 2.9 -0.9
単位[%] 02.05 03.05
売上高総利益率 24.9 25.1
売上高営業利益率 4.2 4.7
売上高経常利益率 4.3 4.8
売上高税引前利益率 3.7 4.5
売上高純利益率 1.9 2.3
効率性
単位[ヶ月] 02.05 03.05
総資産回転期間 4.7 4.4
売上債権回転期間 1.7 1.8
棚卸資産回転期間 0.7 0.6
固定資産回転期間 0.6 0.6
健全性
単位[%] 02.05 03.05
株主資本比率 34.1 37.0
有利子負債比率 0.0 0.0
固定比率 35.9 38.0
流動比率 134.5 138.3
当座比率 112.9 117.3
成長性(4年単純平均)
売上高成長率 52.1%
経常利益成長率 62.9%
割安性(株価5,140円)
PCFR 54.3倍
PFCFR ▲倍
PER 44.0倍
PSR 1.01倍
PBR 7.67倍
PER×PBR 337.3倍
配当利回り 0.2%
配当性向 8.6%
純流動資産 88.9億円
時価総額 1099.4億円

※営業CF、FCFには修正値を使用しています。

評価

収益性 ★☆☆☆☆
効率性 ★★★★★
健全性 ★★★☆☆
成長性 ★★★★☆
安定性 ★★★★☆

企業価値

FCF 2000百万円
成長率予測 10年間15%
還元率 2%
純流動資産 88.9億円

5年 [10年]
将来FCF[百万円] 14,539 41,024
企業価値[百万円] 23,432 49,917
時価総額比[倍] 0.21 0.45
理論株価[円] 1,095 2,334

投資判断


株価は高い

調べる前からわかっていたことですが、やはり株価は高いです。フリー・キャッシュ・フロー額も成長率も甘めに設定してこれですから、私ならこの株価水準での購入は論外です。

ということで今回は株価については無視して企業としてどうかだけを見ます。まず、フリー・キャッシュ・フローは現状ほとんど出ていません。配送センターへの投資をどう捉えるかで変わってくるのですが、これをコストと捉えた場合、フリー・キャッシュ・フローはゼロです。つまり、儲かっているようで実は儲かっていない状況です。

配送センターなんて一度作ってしまえば終わりと思っていたのですが、今は翌日配送から当日配送への移行期で、現在投資が終わっているのが東京、神奈川の中心部のみ。当日配送地域を拡大する場合、今後も毎期多額の設備投資が掛かるのではないかと思います。

ということは、当分フリー・キャッシュ・フローはゼロの状況が続くということですね。最終的に競争に勝てれば設備投資ほぼゼロのドル箱事業に早変わりですが、負けでもしたら洒落にならないですね…。

扱っている商品が一般的な商品ということもあり、薄利多売型のビジネスモデルになっています。粗利は20%~30%。これに販管費が加わって、営業利益率は5%程度。一流企業というよりは、並の企業の水準に近いです。売買の回転率は非常に高いのですが、最終的に落ち着く値はROA6.5%。やはりまだ一流企業の水準ではありません。

財務内容は良い感じでまとまっています。株主資本比率こそ低いですが、有利子負債はゼロですから、倒産する確率もほぼゼロ。

競合相手は、コクヨのカウネットは案の定失敗気味ですが、ダークホースだった大塚商会のたのめーるが大きく伸びているようです。通常、薄利多売型のビジネスにおいてシェア50%超の企業を追い越すことは不可能に近いです。ですが、アスクルが当初は中小企業偏重だったため、大企業に穴があったこと、大塚商会は元々OAサプライ品に強く、現在の通販売上の内訳が各社ともOA・PC関連で約50%になっていることを考えると、文具出身のアスクルやカウネットに必ずしもアドバンテージがある訳では無いこと。この2つを考えると、もしかしたらたのめーるに逆転の芽があるかもしれません。確率的には低いとは思いますが…。

これらを考えると、現状では多額のプレミアムを払ってまで手に入れる企業ではないし、プレミアムなしの状況でも無理して手に入れるほどの企業ではない、というのが私の結論です。

コメント

コメントする

コメントする
(HTMLタグは使用できません)
ブラウザに投稿者情報を登録しますか?(Cookieを使用します。次回書き込み時に便利です。)
  •  
  •